Agiorgitiko アギオルギティコ

ギリシャ A
果皮の色
Vitis vinifera
原産地ギリシャ
有名産地ギリシャ ネメア
シノニムSaint Georgeなど
VIVC登録番号102

<概要>
Agiorgitiko アギオルギティコとは、ギリシャ ペロポネソス半島が原産の黒ブドウ

<原産地>
ギリシャ ペロポネソス半島のアルゴリスとコリンティア地方
ギリシャで最も古いブドウのひとつと考えられている。

<名前の由来>
Agiorgitiko アギオルギティコの名前は、ギリシャ語で「聖ジョージのブドウ」という意味です。これはキリスト教の聖人であるSt.George(聖ジョージ)からきています。

ギリシャでは町の名前の多くがキリスト教の聖人に因んでつけられています。ネメアの土地の多くはフェネオスの聖ジョージ修道院に所有されていました。その修道院が聖体拝領(キリストの最後の晩餐を模して、イエスの血肉を表すパンとワインを会衆に分け与える儀式)に使うワインを造るために育てていたブドウが現在のAgiorgitikoだと言われています。

聖ジョージ修道院の育てていたブドウなので、その聖人にあやかり「聖ジョージのブドウ=Αγιωργίτικο(Agiorgitiko)」と呼ばれています。

<歴史>
Agiorgitikoは、ギリシャでは最も古いブドウのひとつと考えられており、ギリシャ神話に出てくるいくつかの伝説と関連づけられてきました。

伝説の中には、半神ヘラクレスがネメアの獅子を殺した時にAgiorgitikoのワインを飲んだというものもあります。そんなネメアのAgiorgitikoからできる赤ワインは現地では「ヘラクレスの血」と呼ばれています。

また別の伝説では、Agiorgitikoを使用したワインはトロイア戦争の英雄アガメムノン王のお気に入りだったとも言われています。

<ブドウの特徴・栽培特性>
・小粒で果皮が厚く、小さめの房
・発芽が遅く、晩熟、樹勢は強く、高収量
・病害には弱く、うどん粉、灰色カビ病、ウィルスにも弱い
・暑さに強く、暑い地中海性気候に向いている。

小粒で厚い果皮は、濃い色調や高レベルのタンニンなどフェノール類に寄与しており、その影響でオークでの長期熟成にも耐えられるワインの生産が可能になる。

病害としてはウィルスとカリウム欠乏症の影響が顕著に見られる。
ジャンシス・ロビンソンによるとギリシャ全土の多くのAgiorgitikoがウィルスに侵されている。またカリウム欠乏症により葉の変色が見られ、これにより光合成が阻害され、収穫などにも悪影響が及ぶことがある。

萌芽は3月末、果実の成熟は9月中旬以降になることが多い。

基本的には高収量だが、乾燥した養分の少ない土地に植えられると、濃縮したブドウを生産できる。また高品質なブドウを生産するためには、収量制限が重要で、冬季の剪定やグリーンハーベストが重要視されている。

暑さには強いが水ストレスへの耐性は低く、場合によっては灌漑が必要な事もある。

最良のブドウはネメア高地の半山岳地帯のワイナリーのものが多い。

標高450から600m程度のブドウ園の評価が非常に高く、完熟したブドウの香りと酸のバランスやしっかりとした構造を保つことができている。また、標高は品種の個性の一つとされているスパイシーな香りにも影響を与える。標高が900mを超えると酸が過剰になりやすく、低地で栽培されたものは、酸味・タンニン・香りなどの個性に欠けジャミーで平坦なワインになりやすい。

多くのブドウ園がウィルスに侵されている現状を改善するために、ギリシャでは国を挙げて対策をしている。Agiorgitikoのクローンの中から耐病性の強いものを選びウィルスフリーのクローン苗木を造り生産者へ出荷している。これは2012年からリリースされ出し、少しずつウィルスフリーの樹へと植え替えが始まっている。

<主な産地>
AgiorgitikoはXinomavro(クシノマヴロ)と並び、ギリシャ国内で最も植えられているブドウのひとつです。アッティカで約5,200ha、ペロポネソスで約3,200ha、マケドニアやエピラスにも植栽されています。その中でもやはりOPAPネメアの赤ワインが群を抜いて有名です。

地球温暖化の中、暑さに強い性質を持つブドウには注目が集まりますが、耐病性など課題も多いため、現在の植栽のほとんどはギリシャ国内となっています。

<ワインスタイル>
Agiorgitiko アギオルギティコは、軽いロゼワインから濃厚な赤ワイン、甘口の赤ワインまで幅広いワインに使用されます。

価格もカジュアルな物から長期熟成を視野に入れた高級品まで様々です。

軽い赤ワインの場合、マセラシオンカルボニックを使いボジョレーヌーボーのように柔らかくフルーティーな仕上がりにしたものもみられます。

<味わいや香りの特徴>
甘いスパイスや胡椒、赤いベリーやプラムの香り

酸味は少ないものが多く、しっかりとした果実味と高レベルのタンニン
アルコールも中〜高め
青みがかった深いルビー色で濃いめの色調

になることが多いです。

オーク樽で熟成されることもありますが、ギリシャでは伝統的に地元の木材を使用して木樽をつくることがあるため、さまざまな材料の木樽で熟成されることもあります。

単一品種でのワインも数多く生産されていますが、ブレンドする場合カベルネ・ソーヴィニヨンと相性が良いとされています。

<シノニム>
歴史の長いブドウなのでギリシャ国内にも和多くの別名が存在します。

Aghiorghitico, Aigeorgitiko, Mavro (Black or Dark), Mavro Nemeas (in Nemea), Mavronemeas, Mavrostaphylo Mavraki, Mavroudi Nemeas, Nemeas Mavro, Nemeas Mavroudi, Saint George

<相性の良い料理や食材>
ギリシャ風のスパイスを使用した肉料理を相性が良いとされています。
特にシナモン、クローブ、ナツメグ、胡椒など
・玉葱と仔牛のシチュー
・ローズマリーや胡椒などスパイスを使用したハンバーグ
・仔羊とスパイス、野菜の煮込み

<代表的なワイン>
ネメア周辺の赤ワイン

同じギリシャ土着の黒ブドウですが、クシノマグロと比較すると国際的なスタイルで造られることが多いです。

土着品種ブームが去った後にも、評価されるワインをつくるポテンシャルのある品種と言われています。

Katogi Averoff Winery
https://katogiaveroff.gr/en/ta-krasia-mas/erithros-2013
1950年台後半にAgiorgitikoと国際品種のブレンドの可能性を示して有名になったワイナリーとそのワイン

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