Abouriou

A

Abouriou アブリュー ブドウ品種

<フランス原産の黒ブドウ>

主にフランスの南西部で栽培されており、ボルドーから少し内陸に進んだAOC Cotes du Marmandaisの赤ワインに使用されています。
生産の9割がフランス、残りの1割がアメリカです。

<名前の由来>

オック語でearly(早い)を意味するaboriuのフランス語綴りがAbouriou
これはブドウが早く熟す事に由来すると思われます。

<原産地>

フランス南西部 Lot-et-GaronnneのコミューンVilleréalが原産地と言われている。
19世紀のフィロキセラ害以前は、この地域に多く植えられていた。
フィロキセラ害によりこの地域のブドウ畑も荒廃し、Abouriou(アブリュー)の数も大幅に減少した。その後一時期は忘れさられ絶滅の危機に瀕していた。
地元の農民がVilleréalの廃城にAbouriouの蔦が絡まっているのを発見し、地元Lot-et-Garonnneの育苗家であるNuma Naugéが繁殖に成功させ、1882年には保存と繁殖のためにVIVCへも登録をされました。
Abouriouを絶滅から救ったことで、Numa NaugéはPrécoce Naugeという別名で表彰されています。

<ブドウの特徴>

味わいの特徴は酸味が少なく、タンニンが豊富
色合いは濃くスパイシーな赤ワインを生産する傾向が強い。

味わいを表現する際には、ドルチェットの構造で、マルベックのような芳香と風味を持つと説明されています。これはブラックベリーやいろいろなスパイスの香り(マルベック)に、しっかりとしたタンニンやテクスチャー(ドルチェット)がある事をさしていると思われます。

栽培の特性としては萌芽が早く早熟傾向、耐病性が高く、うどん粉病、ベト病、灰色カビ病に耐性がある。
樹勢が強く、高収量、多産傾向にある。

丈夫で多産という傾向を活かしたカジュアルなブレンドに使用される事が多い。

栽培の際には、萌芽が早いため春の霜に気をつける事が重要です。
霜害対策には、霜の降りない場所を選ぶ事や早すぎる萌芽を防ぐため涼しい場所を選び植樹する事などが推奨されます。
これはボルドーやブルゴーニュなどの高級ワインのように霜害対策に予算を掛ける事が難しいため、植樹の時点でしっかり場所を選ぶ事が大切とされています。

<品種DNA>

マルベックやメルローの母ブドウであるMagdeleine Noir des Charentesと遺伝子的な関連が見られた。Magdeleine Noir des CharentesとAbouriouのどちらが親かは判明していない。
しかしこれにより、マルベックやメルローの兄弟もしくは祖父母である事が判明した。
この研究は2009年に行なわれたものである。

<主な生産地>

Abouriouの主な生産地はフランスとアメリカです。
2008年の情報では、フランスに約338ha(南西地区に約200ha ロワール地区に約100ha)植樹されており、多くはVin de Pays de Landes du Lot-et-Garonneを造るのに使用されています。
その他の地域としてはアメリカ カリフォルニア州のAVAロシアンリヴァーバレーに植樹されています。この地域では1890年にAbouriouが初めて植えられました。
また、カリフォルニアでAbouriouはEarly Bourgogneと呼ばれています。これは早熟傾向が強いAbouriouの特徴から付けられた名称であると思われます。
ただアメリカでEarly Bourgogneと呼ばれているブドウをDNA鑑定してみるとAbouriou以外の品種が混ざっている事もあります。
これは開拓時代やそれ以降に、ヨーロッパから苗木を輸入した際に品種の混同が起きてしまったためと思われます。Early Bourgogneという名前で植えられている別の品種で有名なもののひとつにブラウアーポルトギーザーがあります。

<ワインスタイル>

フランスでは、伝統的にブレンド用の品種として重宝されてきました。
AOC Cotes du Marmandaisでカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロー、マルベック、シラー、フェル、ガメイなどの品種とブレンドされてきました。
ただし近年は土着ブドウブームのため単一品種での生産も増えています。
またロワール地方の一部でも生産され、こちらでは自然派の生産者による単一品種での生産が多く見られます。

カリフォルニアでは、ブレンドせず、Abouriouのみの単一品種でワインを造る事が多いです。
ワインは濃い色合い、中程度のボディ、穏やかなタンニンが特徴です。
生産されてから5年以内が一般的な飲み頃といわれています。

<シノニム>

ガメイと同じシノニムが多数あるがDNA鑑定により遺伝子的な関連はないと証明されている。


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