Acadie / L’Acadie

A

<名前>
Acadie / L’Acadie

<概要>

Acadie / L’Acadieとは
カナダ原産の白ブドウ
1953年にカナダのオンタリオ州の研究所で開発されたハイブリット(交雑)品種

<原産地>
カナダ オンタリオ州
現在のVineland Research and Innovation Center(当時の名称はVineland Horticultural Research Station)で品種交配によりつくられた品種です。
カナダ(寒冷地)での栽培を目的に開発されました。

<名前の由来>

Acadie / L’Acadieは元々はV-53621という名称でしたが、植栽された地域とその歴史に因んでAcadie / L’Acadieと呼ばれるようになりました。

Acadie とは北米の地域の古名で、フランス人入植者により名付けられたものです。地域としては、カナダのノバスコシア州とアメリカ合衆国のメイン州東部にあたる地域です。語源は2説あり、一つはギリシャ語の「Arcadiaアルカディア(理想郷)」、もう一つは先住民のミクマク族の言葉「e’katikエーカティク(場所)」と言われています。

最初に栽培に成功した地域がノバスコシア州であったことや、初めてワインがリリースされた時期に同じ時代にアカディアン文化を復興させる運動が起きていた事などがあり、この地域の歴史や遺産、文化に敬意を表して、ブドウの名前がV-53621からAcadie / L’Acadieに変更されました。

<歴史>

Acadie / L’Acadieは1950年代にV-53621としてカナダのオンタリオ州の研究所で開発されました。しかし、最初に栽培などのトライアルが行われた際は、あまり良い結果が出ず開発は中止されました。しかし10本のブドウの樹がカナダのノバスコシア州に実験的に送られていました。これはより寒く海洋性気候である別の環境で実験するためでした。実験は成功し今ではノバスコシア州を代表するブドウの一つとなっています。

1970年代には初めてのワインが出荷されました。グランプレワイナリーというノバスコシア州キングス郡のワイナリーによるものでした。

30年以上が経ち、ノバスコシア州のワイン生産が成熟するにつれ植樹本数も増え、現在では同州で1番多く植えられているブドウとなっています。

<葡萄の特徴・栽培特性>

Acadie / L’Acadieの特徴は非常に強い耐寒性です。−22℃から−25℃の低温に耐えることができるとされています。
これは耐寒性が強いことで知られるブドウの中でもトップクラスの耐寒性といえます。
果実は早期〜中期に成熟し、樹勢は強く高収量です。
品質のコントロールのためには、冬季の剪定やグリーンハーベストなどをしっかりと行うことが推奨されます。
実が詰まり過ぎない緩めの房を生成するため、風通しがよく、灰色カビ病へもある程度の抵抗力を発揮します。また、農薬を使用しない有機栽培でも栽培の成功した事例があります。

<品種DNA>

Acadie / L’Acadieは、ブドウ栽培の北限の地の一つであるカナダでの栽培に合わせて開発された品種です。
親はSeyve-Villard 14-287 とCascadeです。
Cascadeは既に高い耐寒性と早熟という寒い地域に合わせた特性を持っていたが、耐病性が低かったため、南フランスで開発されたセイベルクローンなどと掛け合わせ、新品種の開発が行われていました。

Seyve-Villard 14-287 とCascade、どちらの品種も長い時間をかけて交配や交雑をした品種のため、Acadie / L’Acadie はVitis labrusca, Vitis riparia, Vitis rupestris ,Vitis vinifera など8種ものブドウの複雑なハイブリット品種となった。

<主な産地>

植栽のほぼ100%がカナダにあると言われており、主にケベック州とノバスコシア州に植えられている。
ノバスコシア州では州内で最も多く植えられているブドウである。

<ワインスタイル>

明確な品種特徴は少ないが地元ではノバスコシア州の土地を1番表現できる品種として愛されている。

花や蜂蜜、芝や柑橘などの香りが特徴で、カナダのワインの中では比較的しっかりとしたボディを持つ傾向にある。
ボディやテクスチャーによりシャルドニに似ていると表現される事もあるが、近年はソーヴィニヨン・ブランと比較される事も多い。

淡い黄色で中程度の酸味とボディを持つことが多い。

多くのワイン造られており、バンダルクリシェやビダルブランなどとブレンドされたり、瓶内二次発酵のスパークリングワインも生産されている。

<シノニム>
地元に根付いたハイブリット品種のため別名はほとんどありません。
ブドウ品種名の表記の幅としては、元の名前のV-53621が使用されることが稀にあること、フランス語に由来するためAcadie / L’Acadie、Acadie Blancなどいくつかの表記揺れがあります。

<相性の良い料理や食材>

イカや鰯、ロブスターなど地元名産の食材と合わせるのが一般的です。

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