Aglianico アリアニコ

A
果皮の色
Vitis vinifera
原産地ギリシャ
有名産地イタリア南部 特にカンパーニア州
シノニム多数
VIVC登録番号121

●概要

Aglianicoアリアニコとは、イタリア南部で栽培されている黒ブドウ。

●原産地

Aglianicoアリアニコの原産地はギリシャです。

2500年以上前にイタリア南部へ移住するギリシャ人によってもたらされたブドウです。カンパーニア州に持ち込まれ、そこからプーリア州やバジリカータ州に広がったと言われています。

●名前の由来

Aglianicoという名称の由来はいくつかあります。

ひとつめはラテン語でギリシャのブドウを意味する「vitis hellenica」が転訛して現在のアリアニコという名称になったという説。

これはギリシャからイタリア南部に移住した人々がカンパーニアの人々に対して「Vitis hellenica(ギリシャのブドウ)」と紹介し、現地の言葉に変化したという説。

もう一つの説は、Apulianicumという言葉が語源となったという説です。

Apulianicumとは、古代ローマ時代のラテン語でイタリア南部を指す言葉です。

●歴史

Aglianicoの栽培の歴史は、ギリシャのPhocians 近郊で始まったとされている。

祖先となるブドウはまだ特定されていません。

その後、開拓者によってギリシャからイタリアのCumae(現在のPozzuoli=カンパーニア州ナポリにある都市 イタリア半島で初めて建設された古代ギリシャの植民市)に持ち込まれ、カンパーニア州やバジリカータ州に広まった。

その後もブドウ畑が増えるにつれAglianicoの植栽も増え、古代ローマ時代には既に南イタリアの主要な品種として栽培をされていました。

そして世界初のカルトワインであったともいわれているFalernum(Falerniann wine)を造るための重要な品種となりました。

このFalernianというワインは、ローマに初めてのワイン産業の黄金時代をもたらし、醸造や栽培の新時代の幕開けを担ったワインであるといわれています。世界に先駆けてブドウ畑の開発や区画整備などを行い、現在のグランクリュに相当するような地位を築いていたワインです。

また『博物誌』の著者である大プリニウス(Gaius Plinius Secundus)によると、古代ローマ時代においてAglianicoはGrecoと並んで格の高いワインを造る品種であったとされています。

現在もAglianicoは南イタリアで主要な品種として栽培され続けているが、原産地のギリシャからはすでに消えてしまっています。

ボルドー大学の醸造学の教授でワインメーカーでもあったDenis Dubourdieu(デニス・デュブルデュー 1949年7月1日〜2016年7月26日)によると「おそらくAglianicoは全ての葡萄の中でも特に長い期間、人類に消費や栽培をされてきた歴史があるブドウ品種である。」と述べています。

●ブドウの特徴・栽培特性

暑さに強く、干ばつに耐性がある。

火山性土壌に向く

萌芽・開花は早く、成長速度は遅い

収穫は中〜後期の晩熟型(10月から11月)

樹勢は比較的強い

生産量は多く安定している。

うどんこ病には強い耐性を持つ。

ベトや灰色かび病には弱い。

タンニンが多く、その成熟にたくさんの時間を必要とする。

収量を増やしたり、収穫時期を早めた若すぎるブドウは、タンニンが未成熟になったり、必要以上に多いブドウになりやすい。

タンニンが多いためデザートワインには不向きなので、貴腐として灰色かび病がついたとしても利点はなく、葡萄畑に貴腐菌が存在することはデメリットになる。

●関連する品種やDNA鑑定について

ギリシャが原産であるが祖先の品種などは不明。

Agianiconeアリアニコーネという名前の似た品種があるが、DNA鑑定により2つの品種は遺伝的関係は密接にあるが、クローンや突然変異ではなく全くの別品種であることが判明しています。

●主な産地

Aglianicoの主な産地はイタリア南部で、約13,000haほど植えられているといわれています。

有名な原産地呼称は、

DOCG Taurasi(Campania)

DOC  Aglianico del Vulture(Basilicata)

DOCG Aglianico del Vulture Speriore (Basilicata)

DOCG Aglianico del Taburno (Canpania)

DOC Cilento Aglianico (Campania)

イタリア南部のアリアニコには3つのバイオタイプがあり、下記の通り分布が分かれている。

Campania  Avellino/Irupinia (Taurasi,CilentoAglianico)、Campania Benevento (Aglianico del Tabruno) 、 Basilicata Mount Vulture (Aglianico del Vulture)

最高のワインは火山性土壌の標高の高い斜面の畑から造られます。

これはゆっくりとした成長や成熟でも酸を失わずブドウを育てることができるためです。

イタリア南部では、最高のワインを造ることのできる品種とされています。

近年はニューワルドでの植栽も増えている。

これは強い日差しや暑さ、干ばつに対する強い特性に注目が集まったためです。

2001年頃から世界的に植栽試験が始まり、オーストラリアではすでに一定の成功を収めている。

主な植栽地は

オーストラリア(南東部に位置するマレー・ダーリング盆地)

アメリカ カリフォルニア州(セントヘレナAVA、パソロブレスAVA )

その他にも、カナダ、チリ、アルゼンチンなどでも植栽が始まっている

●ワインスタイル

Aglianicoから造られたワインは、豊富なタンニンと高い酸度により、南のバローロと呼ばれている。

イタリア南部では、単一やブレンドの中心とされる事が多く、IGTなどで国際品種とブレンドされる場合は、メルローやカベルネソーヴィニヨンとブレンドされることが多い。

タンニンが非常に多く含まれるため、味わいのバランスを取るために数年間もしくはそれ以上の熟成期間を必要とします。

オークなど木樽での熟成とも相性が良い。

熟成が進むと渋みが落ち着いて果実味が強く感じられるようになる。

深みのあるルビー〜濃いガーネットの色合い

濃厚なタンニン

高い酸味

しっかりとした構成

アルコールも高めな傾向にある。

チョコレートやプラム・黒いベリー、タバコ、コーヒーや皮のような香り

長期熟成に耐えられる最高のフルボディの赤ワインを作るポテンシャルがある品種ですが、ロゼやスパークリンングワイン、カジュアルな赤ワインの生産にも使用されています。

これはAglianicoの安定した高収量という特徴を活かした結果であり、イタリア南部のいくつかの地域は経済的に貧しいため、醸造や栽培設備に投資をすることが難しいためといわれています。

●シノニム

Aglianicoにはたくさんの別名が存在する。

Aglianco di Puglia, Aglianica, Aglianica De Pontelatone, Aglianichella, Aglianichello, Aglianico Amaro, Aglianico Comune, Aglianico Crni, Aglianico del Vulture, Aglianico di Benevento, Aglianico di Castellaneta, Aglianico di Lapio, Aglianico di Taurasi, Aglianico Femminile, Aglianico Liscio, Aglianico Mascolino, Aglianico Nero, Aglianico Noir, Aglianico Pannarano, Aglianico Trignarulo, Aglianico Tringarulo, Aglianico Verase, Aglianico Zerpoluso, Aglianico Zerpuloso, Aglianicone, Aglianicuccia, Agliano, Agliantica, Agliatica, Agliatico, Agnanico, Agnanico di Castellaneta, Alianiko, Cascavoglia, Cassano, Cerasole, Ellanico, Ellenica, Ellenico, Fiano Rosso, Fresella, Gagliano, Gesualdo, Ghiandara, Ghianna, Ghiannara, Glianica, Gnanica, Gnanico, Granica, Granico, Hellanica, Malvasia, Olivella, Olivella di San Cosmo, Pie di Colombo, Prie Blanc, Ruopolo, Spriema, Tintora, Tintora di Cerinola, Tringarulo, Uva Aglianica, Uva Castellaneta, Uva dei Cani, Uva di Castellaneta, Uva Nera, Zuccherina

●相性の良い料理や食材

Aglianicoの特徴である、タンニン由来のスパーシーさスモーキーな特徴は炭火で焼いた肉と非常に相性が良い。

また高い酸味があるため時間をかけた牛の煮込みなどとも相性が良い。

ベリーやチョコレート、オークのニュアンスに高い酸味も併せ持つためダークチョコレートなどと合わせても引けを取らない。

赤身の肉やジビエ、羊などしっかりとした強い味わいを持つ肉料理

ローストやスパイスでの煮込み、バーベキュー

ダークチョコレート

●代表的なワイン

Aglianicoを使用した有名ワインは

DOCG Taurasi(Campania)

DOC  Aglianico del Vulture(Basilicata)

DOCG Aglianico del Vulture Speriore (Basilicata)

DOCG Aglianico del Taburno (Canpania)

DOC Cilento Aglianico (Campania)

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