●概要
果皮の色 | 黒 |
種 | Vitis vinifera |
原産地 | ジョージア共和国 |
有名産地 | ジョージア Imereti地区Guria地区 |
シノニム | |
VIVC登録番号 | 211 |
Aladasturiはジョージアで栽培されている黒ブドウ品種
中部から西部で多く見ることができる品種です。
ワイン発祥の地であるジョージアには約500種類ともいわれる数多くの土着のブドウ品種が存在します。
その中でもAladasturiは高品質で個性を兼ね備えたジョージアを代表するブドウとして認識されています。
●原産地
Aladasturiの起源については、公式の書面による明確な情報はありませんが、原産地はコーカサス地方といわれています。
コーカサス地方で発見されたAladasturiはジョージア グリア地区の商業的なプランテーションで栽培され、品種として認識をされました。グリア地区の位置は西側を黒海に面したジョージアの西南に位置する地区です。
伝統的にワインの生産が行われてきた地区で土着のブドウ品種が50種類ほどあるともいわれています。
BC6000年頃からワインの生産をしているジョージアでは数多くのVitis viniferaが発現し進化したといわれています。
●名前の由来
Aladesturiの名前の由来はアラビア語のAllah Dastoor(the permission of Allah=アッラーの許可)という言葉です。
これはジョージア対するにアラビアからの侵略の際に名付けられました。多くのアラビア人は宗教的制約があるため、お酒を飲むことができません。しかしジョーシアへの侵攻でワインに出会ったアラビア人たちはAladesturiを使用したワインのあまりの美味しさに惚れ込みなんとかしてワインを飲もうと考えました。そして “Allah Dastoor” (神の許可を得た)という名前をそのワインにつけて合意を得たという事実をつくり、飲酒を正当化しました。
それ以来この品種はAladasturiと呼ばれるようになりました。
●歴史
Aladasturi はジョージアでも特に愛されているブドウ品種で数多くの民謡や文芸、諺に登場します。グリア地区の土着のブドウとして広がり、東部のイメレティ地区でも栽培されるようになりました。
昔から地元の人々のテーブルワインの生産や生食用のブドウとしても愛されていました。
Aladasturiがこの地域で広く栽培されるようになったのは、少ない労力で多くの高品質なブドウが得られたからだとされています。
●ブドウの特徴・栽培特性
Aladasturiの特徴は
高収量で樹勢は強く、萌芽はやや遅めの4月中旬
房は中程度(200gほど)、実は晩熟で10月下旬から11月上旬に収穫されます。
土壌との相性は粘土や砂の土壌が良いとされ、特に石灰を含む砂質土壌で最良の品質のブドウが得られるとされています。
うどんこ病には耐性がありますが灰色かび病に弱く、開花期と成熟期の灰色かび病対策がとても重要視されています。
他の土着品種と比較してフィロキセラに対する耐性も高いとされています。
主な栽培地区が比較的暖かいので冬や春の霜はあまり問題にはなりません。
病害対策としては、開花・結実期の硫黄の散布や栽培されている地域が降雨が多いため、作付けの段階で通気や日光を確保することも重要とされています。
また、成長が早く早いものでは2年目から実をつけ始め、遅くとも3年目には結実がなされます。そして5年ほどでワインの生産が可能な品質のブドウが得られるようになります。
ジョージアの伝統的な仕立てで栽培した場合は1つの木に対しておおよそ2kg程度、垣根仕立てで栽培した場合はおおよそ4〜4.5kg程度収穫できるとされています。
収穫後の劣化や腐敗が少ないとされているため生食用としても広く消費されています。
●関連する品種やDNA鑑定について
現在Aladasturi関連する品種やDNA鑑定による血縁関係は不明です。
ジョージア東部では、Aladesturiと誤認されやすい品種にMoldvanka/Moldovanがありますがこれは別の品種で、モルドバの研究所で造られたハイブリット品種で、ジョージア東部で生食用ブドウとして栽培・消費されておりAladesturiとは遺伝子的にも共通点ありません。
●主な産地
Aladasturiの主な産地はジョージアの中部〜西部にかけて
Imeretien地区とGuria地区
ジョージア全土で約60ha(高地で約45ha、低地で約15ha)植栽されています。
フィロキセラ害以前はもっと多くの植栽がされていましたが、植え替えをされて減少したとされています。
●ワインスタイル
Aladasturiは単一品種でのワイン生産もされていますが基本的にはいくつかの品種とブレンドされてワインになることが多い品種です。
Aladasturiから造られるワインは、半辛口のロゼワインや過熟ブドウを使用した半甘口のワイン、高品質な赤ワインとさまざまである。
また、自然派のワインも多く見られるため、醸造法由来の香りが前面に出たものも多い。
味わいとしては
中〜やや高いアルコール
中〜やや高い酸味
色調も中程度のルビー
ボディはしっかりとしたものが多く
高品質なものは構成や余韻もしっかりと感じられる
ブラックチェリーや胡椒、煙やタバコのアロマが感じられます。
クヴェヴリを使用したものは、比較的淡い色合いで軽いボディに繊細なタンニンを持つことが多いです。
醸造前の果汁の糖度は19.5〜21.5%、酸度は8.5〜9.4g / l程度とされており、イザベラなど土着のブドウとブレンドされることが多いです。
●シノニム
Synonyms: 5
ALADASTOURI、ANADASSAOULI、ANADASSAOULI FEMELLE 、ANADASSAOULI MALE、ANADASTOURI
●相性の良い料理や食材
Aladasturiを使用したワインは味わいの幅が広いため色々な料理との可能性考えることができます。
果実味や少し甘味あるロゼや赤の場合は
回鍋肉など味噌にスパイスや甘味の感じられる料理と
クヴェヴリを使用した赤には
ボルシチやオストリなど酸味や辛味に特徴のある料理とのペアリングがおすすめです。
●代表的なワイン
Aladasturiの伝統的な造りを体感したい場合は
Guria地区やImereti地区のもの
できればいくつかの品種を合わせたもの
そしてクヴェヴリを使用して醸造されたもの
を選ぶことをオススメします。
個性的な味わいのワインも多いですが、ワイン発祥の地の伝統を感じることができるワインの一つだと言えるのではないでしょうか。
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