Albillo Real アルビーリョ・レアル

A

果実の色
Vitis vinifera
原産地 スペイン
有名産地 Ribera del Duero
シノニム
VIVC登録番号 247

●概要Albillo Realとは、スペインで栽培されている白ブドウ品種です。

北西部のガリシア地方で多く見られます。

Albillo〜もしくは単にAlbilloと呼ばれているブドウはスペインやイタリア全土で多く見られますが、いくつかの品種が区別なく一括りにされているためといわれています。

●原産地

Albillo Realの原産地は現在はまだわかっていません。

●名前の由来

Albillo Realの名前の由来を調べてみると2つの説が見つかりました。

まずはAlbilloという名前がラテン語の白に由来する『Albu』が転訛したというものです。
これはイタリアやスペインなどラテン語圏の多くの地域でAlbillo〜もしくは単にAlbilloと呼ばれているブドウが見つかることも根拠の一つとなっています。

もう一つはスペインのカスティーリャ・レオンにある自治体アビラ(Ávila)に由来するというものです。この説ではこの地域が原産地もしくは過去の名産地であったのではないかと予想されています。が、詳細は現在は不明です。

また、Albillo RealのRealは、スペイン語で「王の、王室の」という意味で、有名なサッカーチーム「レアル・マドリード」と同じレアルです。
16世紀にスペイン マドリードの宮廷で消費されていたとの記録などが残っているので、その際に王室から授けられたか、王室御用達という意味でつけられたのではないかと推測されています。

Realに関してはカスティーリャ・レオン(Castilla y León)が原産地でありその地域名(レオンLeon)との関連を推測する記事なども見られましたが、スペルが全く異なるためここからの転訛の可能性は低いと思われます。

●歴史

Albillo Realについて書かれた一番古い文献は15世紀まで遡ることができます。
Gabriel Alonso de Herrera (ガブリエル・アロンソ・デ・エレーラ 1470–1539)による農業論文で言及されています。それによるとAlbilloは「透明感があり、上品な味わいであること。長期間保管ができる可能性があること。Cigüente、Moscatel、Hebénなどの他の品種と混合すると品質が向上すること。」などが述べられています。

また16世紀後半には、スペインのマドリードの宮廷で非常に人気のあるワイン「サンマルティン」として消費されていました。特に人気があったのがスペインの中では涼しい地域であるカスティーリャ・レオンのÁvilaという地域で樽熟成されてものでした。当時の言葉で「アビラで熟成させたサンマルティンワインはFlorin(中世にフィレンツェ共和国などで発行されていた金貨、またその通貨単位)よりも価値がある。」というものがあります。
また、この頃にはAbillo Realが生食用のブドウとしても消費されていました。これはローマなどイタリア半島からマスカット系のブドウが持ち込まれるまで続いていました。

19世紀にはスペインの植物学者Simón de Roxas Clemente y Rubio(シモン・デ・ロハス・クレメンテ・イ・ルビオ)による農業書ではAlbilloの特筆すべき甘さ(糖度)について触れられています。

また1751年にはスペインのトロに植えられているブドウの36%がAlbilloであるという報告が
ボルドー大学でも教鞭をとっていた植物学者のAlain Huetz de Lempによって報告されています。また、リオハアルタでもAlbilloが存在しており伝統的にチャコリにも使用されていたと言及されています。

●ブドウの特徴・栽培特性

Albillo Realの特徴は
スペインでは8月中旬に収穫が始まるほどの早熟品種です。
樹勢は強く、高収量
高い糖度(グリセリンを多く含む)とやや低めの酸度
香りはあまり強くありませんが香水のような香りが見つけられる
開花が早いため、春の霜には注意が必要
房も顆粒も小さめで、果皮も薄め

ブレンドの際は、高い糖度を生かしてアルコール度や甘みを加えたり、酸の強いワインを穏やかにしたり、リベラ・デル・デュエロの赤ワインに華やかな香り付加するために使用されます。

●関連する品種やDNA鑑定について

Albillo Realに関連する品種については、2010年のDNA鑑定により片方の親が判明しています。また、サルディーニャ島で栽培されているAlbilloと同一品種と考えられていましたが別品種であると確認されました。

Albillo Realの片親はイタリアの白ブドウ品種Agostengaです。この品種にも多くの別名がありPrié blanc、Legiruelaなどとも呼ばれています。

数多くあるAlbillo〜と呼ばれる品種の中でもAlbilloMayor、AlbilloReal、Albillo de Albaceteの3種が特に古く、多くの品種の元となっている可能性があるとみられています。
またAlbilloMayorとAlbilloRealの二つはあまり区別されることがなく、単にAlbilloと呼ばれることも多くありましたが別品種であることも判明しました。
AlbilloMayorはHebénとまだ見つかっていない品種との交配であり、テンプラニーリョの片親でもあります。

まだ多くのAlbillo〜が実際にどんな品種であるのかは判明していませんがわかっているものをいくつか記載します。

Albillo de Asturias = Chasselas
Albillo de Lucena = Palomino
Albillo de Nava = Verdejo
Albillo Negro = Tempranillo
Albillo de Toro = Muscat of Alexandria

●主な産地

Albillo Realの主な栽培地域はスペイン全土です。作付面積は約2,500ha~3,000haとされています。ただしこの中には品種の詳細が判明していないものも含まれています。

Albillo Realと判明していて、多く確認できる地域はカスティーリャ・レオン、リベラ・デル・デュエロなどで、特にDO Vinos de Madridでは主要品種として使用されています。

暑さへの耐性に期待されており、アメリカのカリフォルニア州などでも試験的に導入されています。

●ワインスタイル

Albillo Realは主に他の品種とブレンドするのに使われます。

基本的にはニュートラルな味わいの品種といわれていますが、ブレンドの際には芳香性や糖度を生かして使用されることが多いです。

例えば、酸度の高すぎるブドウに合わせて穏やかな味わいにする。
糖度を生かして甘味やアルコールの補填に使用する。
リベラ・デル・デュエロの赤ワインには芳香性を補うために加えられます。

●シノニム
Albillo Realには数多くのシノニムが存在します。
現在VICVには53もの別名が登録されています。

Synonyms: 53
ABUELA、ACERBA、ACERVA、ALBARIN BLANCO、ALBIL PARDO、ALBILIO KASTELIANO ALBILLA、ALBILLO、ALBILLO BLANCO、ALBILLO BLANCO FINO、ALBILLO CAGALON、ALBILLO CASTELLANO、ALBILLO CASTILLAN、ALBILLO DE CEBREROS、ALBILLO DE GRANADA、ALBILLO DE HUEBLA、ALBILLO DE MADRID、ALBILLO DE SAN JERONIMO、ALBILLO DE TORO、ALBILLO DE TORO DORADO、ALBILLO DORADO、ALBILLO PARDO、ALBILLO PECO、ALBILLO PECO DE TREBUGENA、ALBILLO TEMPRANO、ALBILLO VERDAL、ALBUELA、ALVILLA、ALVILLO、ARVILLA、BESTO MADURO、BLANCO CASTELLANO、BLANCO RIBERA、BLANCO RIVERA、CAGALON、CASTELLANO、CASTELLANO BIANCO、CEPA 、CANASTA、CEPA DE LENA、DE LENA、HOGAZUELA、HOGOMELA、NIEVES TEMPRANO、OJO DE LIEBRE、PICAPOL、PROLIFERA、TEMPRANA、TEMPRANO DE CAMPO REAL、TEMPRANO DE MORA、TURRUNTES、UVA DE LENA、UVA PARDILLA、VERDAGUILLA

●相性の良い料理や食材

Albillo Realと相性の良い食材は
ニュートラルな味わいと低めの酸味、香水のような華やかな香りが特徴なので
野菜や淡白な魚、鶏のささみなどサッパリした白身肉がお勧めです。
また華やかな香りにはエキゾチックなスパイスも合うかと思います。

リコッタチーズの詰め物をした花ズッキーニのフリット
グリーンカレー
ピキーリョをのせたトルティージャのピンチョス

●代表的なワイン

Albillo Realのワインを探しています。
おすすめがあればご一報いただけると嬉しいです。

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